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伝統を伝える

現代日本の現状において、農村の過疎化は大変深刻な問題で、どうにか打つ手を考えてはいるものの、その進行に歯止めをかけることができず深るみにはまっていくばかりです。こういう社会現象は世界各国で共通しているのですが、宝石採掘業界でも同様のことがいえます。

各採掘現場を覗いてみると、若々しくパワフルに働く人よりも、40代後半から50代の人が目立つような気がします。ですが、農業とは違いまだ未来は明るく思える要素は、例え採掘作業は行わなくても、宝石に関係した仕事に就業する若者も多いようです。このことに関して世界有数の宝石産地スリランカの方に直にお話しを伺う機会がありました。

この26歳の女性の方の父親は採掘現場で働く作業員で、幼いころから宝石を目にしたり触れたりする機会も多かった彼女は、義務教育終了後、近隣の加工工房に就職して原石のカットや研磨を行うテクニックを学んだそうです。その後、技術に自信がついたところで自宅の一角に宝石加工工房を作り、独立後は父親の働く採掘現場から採掘された宝石の中でも、手作業で加工を施さなければならない宝石専門の加工師になりました。

彼女はこの国で産出される全ての宝石に絶大な自信と誇りを持ち、「自分がこの宝石の街に産まれて、宝石の原点に携わる仕事を持つ父親の娘として産まれて本当に幸せなことだと思う。父親が買ってくれたこの機械を大切にして、自分の子供にも技術を教えて行きたい」と話していました。

スリランカの場合、他国の採掘現場よりも「働かされている」という雰囲気がなく、「好きだから携わっている」という職業意識のもとに就業している人が多いためという現実も去ることながら、古代から培われた、失くしてはならない伝統を次の世代に伝えるためにもこういう若者の気持ちは本当に大切にしていかなければならないと強く考えさせられます。

実際問題として、宝石に関わる仕事は採掘ばかりでなく、それを製品として仕上げるまでの加工工程も本当に重要で、例え数千万円の価値があるような原石でもカットと研磨の技術一つでゴミクズに代わってしまう場合もあるのです。

このような伝統や人々を守るために、国家ぐるみで環境を守りながらも宝石産業を保護するための政策や資金繰り、また世界的な援助も必要不可欠なものとして考えて行かなければならないのだと思います。

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